桜の花が散るのは次のはじまり
春の訪れが遅いわが町も、各所で桜が満開に。
カメラ好きにとっては、桜が咲くこの季節は自然と写欲が高まります。

全力で咲き誇り、あっという間に散りゆく桜。
そのいさぎよさに、どこか切なさを感じながらも、今という時間の尊さを教えてくれるような氣がして、
毎年この季節になると、桜に会いに行きたくなるのです。
その姿に惹かれて、昔、ふと桜のことを調べてみたんです。
すると、私の心をギュッとつかむような事実を知りました。
それは・・・
桜は、散ったあとすぐに次の春へ向けて、準備を始めているということ。

桜は花が散ったあと、花芽(はなめ)と呼ばれる、小さな芽をつけるんです。
見た目には葉っぱだけのように見えても、その中にちゃんと、来春の花の設計図が隠れているんです。
夏の陽射しを浴びて栄養を蓄え、エネルギーをためこみます。
秋にはいったん休眠に入り、冬の寒さで目を覚まし、開花に向けて準備を整えます。
そして春、気温が上がり、目覚めた花芽がぐんぐんふくらみ、あの美しい花となって一斉に咲き誇ります。

何も変化していないようにみえても、その内側ではずっと咲くための準備が続いているんです。
それを知ったとき、なんて健氣で素敵なんだろう・・・と、桜への思いが深まりました。
そして、私たちの人生もきっと同じだな・・・って思ったんです。
今は結果が見えなくても、夢に近づいている実感がなくても、私たちも日々、心のどこかで準備をしている。
目に見えない努力や想いが、やがて自分らしい花を咲かせてくれる。
だから、焦らなくていい。
落ち込む日があってもいい。
静かに根を張っていく時間も、必ず意味があるから。
桜がそうであるように、私たちも、自分のペースで咲いていけばいい。
1年かけて、ゆっくり、しっかり準備してから咲く桜。
だからこそ、その姿には深い感動があるんですね。
春の風に揺れる桜の花びらを見るたびに、私は今を大切に生きようと心に誓っています。
